研究活動

【ワークショップ】「シオニズムとワタン」【終了】

イベント記録を掲載しました

日時:2021年7月31日(土)13:00-16:30(終了しました)
会場:京都大学吉田南キャンパス/オンライン(Zoom)                            
講師:細見和之(京都大学)、菅野和也ソロモン(京都大学)

プログラム:

趣旨説明 岡真理(京都大学)

報告1 菅野和也ソロモン(京都大学人間・環境学研究科修士課程)
「「シオンの悲嘆者」運動:中世ユダヤ教における「イスラエルの地」と「捕囚の地」を巡る力学」
中世ユダヤ教における多数派であったラビ・ユダヤ教は、捕囚の地(バビロン)に居住することを天命と受け止めていた。だが同時代にラビ・ユダヤ教の対抗勢力として台頭したカライ派は、捕囚の地への居留を批判し、イスラエルの地へと移住することを訴えた。なぜカライ派がイスラエルの地への帰還を呼びかけたのかを考察し、中世における一種のシオニズムともいえる、同派のシオンへの憧憬を展望する。

報告2 細見和之(京都大学人間・環境学研究科教授)
「カツェネルソンの「シオニズム」」
ポーランドのユダヤ系の詩人で戯曲家のイツハク・カツェネルソン(1886-1944)の「シオニズム」について話します。彼は早い晩年にワルシャワ・ゲットーで活動し、イディッシュ語できわめて深刻な作品をいくつも残し、最後にアウシュヴィッツで殺されますが、それ以前は子ども向けのユーモラスな短篇をヘブライ語で書いてもいました。そこから読み取れる、彼のシオニズムについて考えてみたいと思います。

※カツェネルソンに関しては、以下の作品を日本語で読むことができます。
『滅ぼされたユダヤの民の歌』細見和之ほか共訳、みすず書房、1999年。
『ワルシャワ・ゲットー詩集』細見和之訳、未知谷、2012年。


【主催】科研基盤研究(A)「トランスナショナル時代の人間と「祖国」の関係性をめぐる人文学的、領域横断的研究」(代表:岡真理)